BIMの可能性は、木造住宅でさらに花開く。

更新日2015年10月16日

BIMの可能性は、木造住宅でさらに花開く。~AUTODESK社「Revit」導入と、運用までの道のり~

株式会社大塚商会 × フリーダムアーキテクツデザイン株式会社

昨年秋、フリーダムアーキテクツデザインは、BIMを取り扱える三次元CADソフト「Revit」の全社導入を決定した。
本来、BIM(Building Information Modeling)という考え方は、その名称通り大規模ビルディングの建築・設計を目的として生まれたものだ。それをなぜ、住宅設計事務所が導入することになったのだろう。
フリーダムアーキテクツデザインが「Revit」とBIMに掛ける大きな期待と、まだ木造住宅業界的には馴染みの薄い新ソフト導入をサポートした大塚商会との緊密なコミュニケーションの様子をレポートする。

求めたのは、作業の効率化×データの一元化

―BIMモデルは、これまでのようにCGパースなどを制作する際に作られる3次元モデルとは異なり、意匠上の表現のためのモデルだけではなく、構造設計や設備設計情報のほか、コストや仕上げなど、付随する情報もすべて1つのデータで管理することができます。
しかし、一般にはまだBIM=大型建築向け、という印象が強い中、なぜ注文住宅の設計建築が主であるフリーダムアーキテクツデザインは「Revit」の導入を決めたのでしょう?

フリーダムアーキテクツデザイン(以下フリーダム)-当社専用のCADソフトが作れないかということがスタートでした。当社が持つ豊富な実績データを反映できるCADソフトが欲しかったのです。
しかし、専用ソフトを自社で新規開発というのはやはり難しい。そこで、既存製品の中で当社の希望に叶うCADソフトがないかと、大塚商会様に相談しました。
BIMモデルデータを扱える代表的なメーカーが現在4メーカーありますが、その中から「Revit」を選んだ理由は、フリーダムの設計フローに合わせたカスタマイズがしやすそうだと感じたからです。
初期段階で当社の設計スタッフはお客様の要望を形にし、プランを提案します。フェーズが進むにつれ、お客様の要望も膨らみ、実施設計中にプランが変わることも珍しくありません。よりよい住まいをつくるために、実施設計中でもプランまで戻って修正するので、他の図面も全て修正する必要があります。それでも、時間がないなか頑張って修正するのが当社の設計スタッフなのです。しかしながら、図面間の齟齬が生じてしまうという課題を抱えていました。しかし「Revit」なら、平面図を修正すればそのまま立面・展開図にも反映され、さらに後からの仕様変更も容易です。
この基本性能に、フリーダムの持つ豊富なデータを反映すれば、さらに使い勝手よくカスタマイズしていくことができるだろうと感じました。

新ソフトを使いこなすには、コンサルティングと
丁寧なサポートが必要不可欠

―新ソフト導入に対し、社内の反応はいかがでしたか?

フリーダム-実はこれがなかなか難航しました。当初はライセンスさえ購入すれば、オートデスクのサポートやサイトからの情報収集で、自分たちで使い方を身につけられると考えていたのです。
しかし、たとえどれほど優れたソフトだといっても、慣れたソフトで通常業務を進めている中で、新たなソフトの使い方を習得しようという意欲はあまり湧かないものなのです。
設計者としてはそもそも、なぜBIMで木造住宅?という先入観もあり、なかなか実制作には活用できませんでした。

―大塚商会としては、どのようなサポートを行ったのでしょう?
大塚商会(以下大塚)-フリーダム様での導入時には、国内建材メーカーの各製品に対応する詳細なファミリ作成などもお手伝いさせていただいていたのですが、実際にはソフトを使っていただけないという、それ以前の話でした。そこで、どうすれば「Revit」利用のハードルを下げられるかとフリーダム様と話し合って、次のようなサポートをさせていただくことにしました。

①「Revit」エキスパートによる直接指導
② 大塚商会主催セミナーへの参加
③ 電話サポートによる随時対応

フリーダム-①は「Revit」活用に積極的なフリーダムメンバーに大塚商会のエキスパートの方が直接指導するというもの。②は「Revit」やBIMが大いに活用されているゼネコンでの導入事例を、フリーダムの設計に活かすためのヒントを掴むのに役立ちました。③は「Revit」にある程度慣れてきたメンバーからの質問や相談に随時対応してくれるというものです。

大塚-当社の「Revit」エキスパートが、フリーダム社員の皆さまと密にコミュニケーションを取ることで、どうすればモチベーションが上がるかを、共に考えられる連携体制が整ってきました。

「BIMを即戦力にするために」大塚商会のきめ細やかな支援体制

大塚商会では、BIM(CIM)の導入を検討しているクライアントに対し、さまざまな支援プログラムを提供している。
導入時のソフト提案や社内環境の整備といった立ち上がりの部分から、利用者に対するスクーリング、さらにはフリーダムに対して行ったような電話サポートなど、クライアントの希望や状況に応じたきめ細やかな対応で、BIMを戦力に変える支援を行ってくれる。

BIM支援プログラムの全体像 img02 大塚商会が運営するBIMナビ

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