有床診療所でのスプリンクラー設置の義務化が
診療所の無床化を加速
更新日2014年12月01日
2013年10月に発生した福岡市の診療所火災により多数の死傷者が出たことを受け、「消防法施行令の一部を改正する政令」が'14年10月に閣議決定された。この政令により、避難の際に介助が必要な患者が入院している有床診療所・病院には、面積にかかわらず原則としてスプリンクラー設置が義務付けられる。ただし既存の施設には、スプリンクラー設置まで10年間の経過措置が与えられているほか、国が補助金を設けている。
厚生労働省の調査によると、全国の有床診療所(病床19床以下)は1990年には約2万3,600施設あったが、その後毎年約500施設が閉鎖や新規患者の受け入れを中止した結果、2013年には約9,470施設となり、20年間で約6割以上が減少している。診療所の無床化が進む背景には、看護職員の確保が困難なことや、医師の過重労働、施設や設備の老朽化の問題などがある。昨年の福岡の診療所火災をきっかけに、無床化への動きが増加傾向にある。今回の政令によって防火規制が強化されることで、無床化への勢いがさらに増すことが予想される。
MONTHLY NEWS (建築知識2014年12月号)