問題山積の新国立競技場 2020年に建替えは終わるのか

更新日2014年12月01日

2020年に開催される東京オリンピックに向け、建替えが予定されている新国立競技場。'12年に行われた国際コンペで最優秀賞に選出されたザハ・ハディド氏(英国)の提案をもとに、計画・設計が進められているが、建設にあたって、予算や工費など、懸念も多い。

日本スポーツ振興センター(以下、JSC)は、総工費として1,625億円を提示しているものの、景観・安全性・コストなどの観点で現計画は問題が多いとの理由から、建替え計画に反対する槇文彦氏ら建築家グループは、900億円近く上回る2,500億円に到達する見込みとの試算を発表した。また、9月25日に自民党本部で行われた有識者との意見交換では、ザハ・ハディド氏の責任範囲やデザイン監修料13億円の根拠について公開するよう、JSCに対して要請がなされている。

工期の面でも、業者選定における入札手続きの不備などが原因で解体工事業者が決まらず、現在3度目の入札公告が行われており、7月から開始される予定だった解体工事は12月中旬にずれ込む見通しとなっている。

新国立競技場の建替え計画におけるこれらの問題について、前述の意見交換に出席した建築エコノミストの森山高至氏は、「多くの専門家たちが指摘しているように、新国立競技場の建設はプロセスも結果も大きな問題を抱えている。推進派は、これらの課題について乗り越えるべきポジティブな課題と捉えているようだが、これらは人為的失敗であり、乗り越える必要のない課題である。仮に調整を続け、何らかの結果を出したとしても、社会的にも経済的にも、また、地域環境や日本の建築文化にとっても負の影響しかもたらさないだろう。槇文彦先生に続いて、これらを理解し、発言できる建築専門家のさらなる発言と具体的な行動が必要だ」と語る。11月5日には磯崎新氏が同競技場建替え案について報道各社に意見文を配信した。今後の動向に注目が寄せられる。

MONTHLY NEWS (建築知識2014年12月号)

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