新耐震でも強度不足 原因は「柱の接合部」
更新日2015年04月01日
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は2015年2月、耐震診断の調査結果を取りまとめた。この調査は、直近8年9ケ月以内に耐震診断を行った、在来工法による2階建て以下の木造住宅(昭和25年から平成12年5月までに着工したもの)を対象としたもの。木耐協によると、調査対象となった20,113棟のうち、新耐震基準の住宅でも柱の接合部は半数以上が耐震性の低い「釘留め」程度であったことが分かった。
耐震診断における接合部の仕様は、「土台と柱、梁と柱のつなぎ目の金物」をⅠ~Ⅳの4段階で規定している[※]。耐力壁の評価を行う際は、この段階に応じて耐力壁の評価を低減する必要がある。新耐震基準の住宅ではⅡ以上の割合が年々増加傾向にあるとはいえ、新耐震基準の住宅全体の約65%が釘留め程度のⅢまたはⅣにとどまっている実態が明らかとなった。
木耐協は、新耐震基準以降に建てられた住宅でも耐震基準を満たさない要因の1つが「柱の接合部」であり、この補強をいかに行うかが耐震補強工事において重要だと述べている。
※ 一般社団法人日本防災協会により規定。Ⅰは平成12 年建告1460 号に適合する仕様(現行の新築基準相当)。Ⅱは羽子板ボルト・山形プレートVP・かど金物CP-T・CP-L・込み栓。Ⅲはホゾ差し・釘打ち・かすがいなど(構面の両端が通し柱の場合)。Ⅳはホゾ差し・釘打ち・かすがいなど。一般的にⅣに近づくほど強度は下がる。
MONTHLY NEWS (建築知識2015年4月号)