特別対談 第1回 山本 強×鐘撞正也(2ページ目)
更新日2015年06月30日
気になる土地の災害リスクがすぐに分かる「地盤カルテ」
鐘撞─地盤ネットさんは多彩なサービスを開発し続けていますが、特に反響が大きいものは何ですか?
山本─今、一番反響が大きいのは今春に開始した「地盤カルテ」です。住所を入力するだけで、「地震時の揺れやすさ」「土砂災害」などの災害リスクの可能性を点数化し、結果をメールでお知らせする無料のサービスです。
鐘撞─簡単に分かるんですね。
山本─「地盤カルテ」によって、購入を検討している土地にどんなリスクがあるのかを予め調べることができれば、リスクを知らずに購入して後悔するケースを減らせると考えたのです。
鐘撞─建築主によって、安全性・予算など、何が優先されるかは異なりますから、簡単に検討できるサービスが出来たというのは、素晴らしいと思います。
山本─また、「地盤カルテ」によって災害リスクがあると判明した土地でも、しっかりと対策をすれば問題はありません。この場合、改良工事はもちろんですが、補償に入ることもお勧めしたいです。特に、当社が今年リリースした「地盤安心住宅RPLUS」の補償は、液状化にも対応していますので広く皆様に知って頂きたいですね。政府も「国土強靭化」を掲げ、国を挙げて防災や減災に取り組んでいる今、消費者により近い民間の立場から、災害リスクの減少に貢献できればと思っています。
- 災害リスクがわかる「地盤カルテ」
- http://jibannet.co.jp/karte/
住所を入力するだけで地盤・災害リスク情報を診断したレポートが無料で送られてくるサービス。改良工事の必要性、浸水リスク、地震時の揺れやすさ、土砂災害リスク、液状化リスクの5項目を5段階評価し、100点満点で採点する。地盤ネットの地盤解析データと国土交通省などが提供するデータをもとに算出している
「内訳がはっきり見える家づくり」を共に
地盤ネット
代表取締役社長
鐘撞─私には、地盤ネットさんと叶えたい野望がありまして……。
山本─野望ですか(笑)。何でしょう。
鐘撞─各分野のエキスパートが責任をもって仕事を行い、ハイレベルな家をつくるというスタイルを広めて、住宅業界の可視化を推し進めたいという想いです。住宅業界は予算の内訳も不明瞭なことが多いですから。
山本─実現させたいですね。当社は生活者の不利益解消という理念をもとに、鐘撞さんがご不満を抱かれたような、地盤調査と改良工事の区分の曖昧さの解消に努めてきました。
鐘撞─実際、当社に相談に来られるお客様は、ハウスメーカーや工務店にプランを頼んだことがある方がほとんどです。こうしたメーカーなどの多くは「すべて当社にまかせれば安心です」というのが売り文句。要するに、内訳は不明瞭だけれど、とりあえずこのくらいの予算でこのレベルの家がつくれますよ、という提案です。建築主はそれで納得するでしょうか? 一方で、当社や地盤ネットさんが行う家づくりは、設計・工事といった工程を各分野のエキスパートが明確に分業することで質の高いサービスを提供するというものです。このほうがお金や時間を無駄に浪費することなく、理想の家づくりができると確信しています。
山本─自らの得意分野に特化していくほうが、専門性も信頼性も高まりますからね。専門家のわれわれが情報をオープンにし、生活者と供給者の情報格差を埋めることで、建築主に満足して頂ける家づくりができるのではないでしょうか。実際、建築主がそういった情報の透明性を評価しているからこそ当社やフリーダムさんを利用する方が増加しているのだと思います。ネット社会の現在、「可視化」の大切さに気付く建築主はこれからも増えていくでしょう。
鐘撞─業界の常識に縛られず、自由で合理的な考えで建築主と家づくりに向き合う会社が増えていってほしいですね。今回の協力体制をその第一歩にしたいと思っています。
- 地盤ネット
- http://jibannet.co.jp
- フリーダムアーキテクツデザイン
- http://www.freedom.co.jp