日建連、改正建築士法に対応した設計施工約款の改正版を発表
更新日2015年07月01日
・平成27年の改正建築士法に対応
日本建設業連合会(以下日建連)は、4月23日に設計施工一貫契約約款とその書式の改正を行った。同約款は、日建連の前身団体の一つである旧建築業協会が平成13年に作成・公表した「BCS設計施工契約約款」を基盤とする。設計施工一貫の契約実務上の課題解決やこれまでの改正法への対応のために、継続的に契約書式の改正が行われてきた。今回の改正は、平成27年6月25日に施行される改正建築士法に対応したものだ。
同改正では、延べ面積300㎡超の建築物に係る設計および工事監理に関して、書面での契約締結が義務付けられる。これによって、法定必要事項13項目を記載した契約書の締結が必要になる。もしこれを怠ると建築士法違反となる(改正法22条の3の3)。本契約約款と書式の改正の詳細について表1に示した。日建連建築制度委員会の泉俊道契約部会長(鹿島建設)によれば、今回の約款改正は約款本文の改正よりも、改正建築士法に対応した契約書式の改正が主な狙いであるという。
・2タイプの書式を用意
設計施工約款には2つの書式があるが、これらは多様化する発注方式と建築プロジェクトのニーズに応えるために用意されたものだ(表2)。
「設計合意方式(A)」は設計施工契約を実施設計段階で締結する。これはたとえば、設計業務だけをA社に行わせつつ、発注者社内での意志が明確になった段階で改めてA社と設計施工一貫契約を締結するような場合に向いている。
「工事確定合意方式(B)」は、最初から契約を一括して締結するもので、プロジェクト当初から設計施工による発注意志が明確な場合に適している。ただし、この場合の設計施工契約は、工事確定合意書が取り交わされるまでは設計契約のみが発効する。
・本約款の利用メリット
本約款を利用すれば、これまで民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款を修正して用いていたところを、別段修正することなく利用できる。民間連合協定工事請負契約約款は、設計者、管理者、施工者が分離していることを前提としているため、そのまま設計施工一貫の契約に用いるには適切でない部分があり、これを用いるには修正が必要だった。また、設計着手段階での書面化を徹底することで、後のトラブルを未然に防ぎ、発注者と受注者両方の権利保護にもつながる。さらに、本約款は現行法と今後の改正法にもれなく対応しているため、本約款を現段階から用いれば、法律に抵触するのを回避できるというメリットもある。このような利点から、日建連は発注者にも改正法の趣旨を説明し、約款の利用を呼び掛けている。
約款は(A)、(B)ともに製本版が一部300円(税込み)で販売中。日建連ホームページにて、契約関係書類の入力フォーマットをダウンロードできる。
MONTHLY NEWS (建築知識2015年7月号)