大規模な非住宅建築物の省エネ基準義務化へ、2017年4月施行

更新日2015年09月01日

建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案が7月1日、参議院本会議で全会一致で可決・成立し、同月8日に公布された。

同法は、建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、2,000㎡以上の非住宅建築物を新築する際に、省エネ基準への適合と適合性判定を受ける義務などを定めている。

これにより、大規模な非住宅建築物の新築時には、特定行政庁などによる確認審査とは別に、所管行政庁や登録判定機関による省エネ性能への適合性判定が必要となる。改正省エネ基準(平成25年基準)をベースに新たに定める「建築物エネルギー消費性能基準」を満たしていない場合は、建築確認が下りない。建築確認手続きと省エネ適判とを連動せることで、同法の実効性を確保する狙いだ。

同法ではこのほか、300㎡以上の建築物の新築・増改築時に係る計画の届出義務や、年間150戸以上の住宅を新築する事業者に対して省エネ性能の向上を誘導する住宅トップランナー制度を定めている。基準を満たさない場合は、前者に対しては必要に応じて所管行政庁が指示・命令、後者に対しては必要に応じて大臣が勧告・公表・命令できる。

以上の規制措置に加え、建築物が省エネ基準に適合することを所管行政庁が認定すれば、その旨を表示できる表示制度や、新築または改築の計画が誘導基準に適合すると所管行政庁に認定されれば容積率特例を受けられる誘導措置が盛り込まれた。容積率特例を受けられれば、省エネ性能向上のための設備について通常の建築物の床面積を超える部分を不算入とすることができる。これは、エコキュートや大規模再開発でのコージェネレーションシステムの導入などを想定している。

誘導措置については2016年4月1日から、省エネ義務化については’17年4月1日からの施行を目指している。また、’20年に向けて施行後の適合状況を考慮しつつ、省エネ義務化の対象は段階的に広げられる見通しだ。

MONTHLY NEWS (建築知識2015年9月号)

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