BIMの可能性は、木造住宅でさらに花開く。(2ページ目)

更新日2015年10月16日

「Revit」でなにが出来るのかは使ってみれば一目瞭然

―徐々に社内に浸透してきた「Revit」。使ってみた方の反応はいかがでしたか?

フリーダム-きっかけはやはり「スキルテスト」(図A参照)です。
社内で簡易テスト行い、データを入力していくと約1時間でこんな図面が描けるということを実践してもらいました。

大塚-そうなんです。「Revit」はなにしろ実体験すれば、結果が一目瞭然なソフトです。一度使えば、性能や便利さはご実感いただけるものなんです。

フリーダム-社内の設計フローに合わせたテンプレートのカスタマイズを行ったこともあり、この時点で導入から約半年かかっています。やはり新たなソフトの導入、さらに実戦投入というのは大変なことなんだなと感じました。

大塚-「Revit」に限らず、高機能なソフトであればあるほど、習得には時間と手間がかかります。コスト重視でサポートの部分をカットしてしまうと、かえってもったいないことになりがちなのです。
コンサルタントの間では、よく「新たなソフトを使いこなすには、プラス3割のコンサルティング費用を考えておくべき」といわれるぐらいです(笑)。

フリーダム-大塚商会は、メンバーからの実戦的な質問にも具体的に回答してくれましたし、その他のサポートも非常にきめ細やかでした。

「図面が読めない人」に絶大な効果を発揮するBIM

―現在、「Revit」はどのように活用され始めていますか?

フリーダム-一番威力を発揮しているのはお客様との打ち合わせの場です。
これまでは平面図と立面図を基に、ここはこうなります、と施主様に言葉で補足しながら説明していたのですが、やはり一般の方にとって図面を見ただけで形状を想像するのは難しいことです。
しかし「Revit」は平面データと仕様を入れればすぐに、お客様に見せられるレベルの3D図が立ち上がる。
フリーダムの設計スタッフは当然この時点で仕様も想定して提案しています。お客様にとって最大の関心は、やはり「どんな形の家になるのか、どんな間取りで暮らせるのか」ということですから、「わかりやすいビジュアルで提案する」ことが必要です。そのため、「Revit」を使ったお客様とのイメージの擦り合わせは、とても重要です。

図B:Revit作成事例
Revit作成事例 Revit作成事例
Revit作成事例 Revit作成事例

フリーダム-これまではお客様との打ち合わせで平面を直したら、他の図面に反映していくという手間がかかっていました。そのため、デザインを考える時間よりも作図に時間を費やしてしまう。また、図面間での齟齬も生じやすかった。
平面図を直したら、すべて同時に修正されるのは「Revit」を選んだ大きな理由のひとつです。

大塚-手間の多さはリスクの高さとイコールですから、図面のデータを一元化できるというのも「Revit」の魅力ですね。

近い将来、「Revit」は住宅業界のスタンダードソフトになる

―では最後に、住宅業界における「Revit」の未来について、どんな可能性を感じていますか? また、今後の課題はありますか?
大塚-現在BIMが主流となっているオフィスビルやマンション、商業施設の設計となると、毎回ほぼゼロからの企画になりますが、住宅のプランニングならば当然、敷地形状や広さの縛りがあります。
使用する建材や仕様にも、やはり定番やトレンドというものがあるでしょうから、今後フリーダム様のノウハウや実績を反映したカスタマイズが進めば、さらに効率的になっていくと思います。

フリーダム-お客様が暮らしやすい家を追求するのがフリーダムの真骨頂です。数多くのご要望にスピーディに対応していくため、注文住宅設計でも「Revit」とBIMは非常に有効だと感じています。
ソフトの高額さや機能の多さ(複雑さ)がハードルとなって、住宅設計の分野で「Revit」やBIMを活用している会社はまだ少ないと思います。
しかしフリーダムでは、本来の設計スタッフのデザインフローにマッチしたツールとして、必要不可欠なソフトだと考えています。今後は基本設計だけでなく、実施設計も「Revit」に移行していく方針です。

大塚-日本の木造住宅業界ではまだあまり普及していませんが、世界的に見れば、BIMはプロジェクトの規模に関係なく利用が拡大しているソフトです。
フリーダム様も実感されている通り、「Revit」は非常に効率化が進むソフトですから、一度使うと戻れないという意見もよく伺います。

フリーダム-「Revit」は世界トップシェアのBIMソフトです。大型プロジェクトだけではなく、小規模な住宅設計の分野にも、最適なソフトだと確信しています。

大塚-まずはフリーダムアーキテクツデザイン様、そして業界スタンダードになるまで、丁寧にサポートさていただきます。

P r o f i l e

株式会社大塚商会 株式会社大塚商会
  • PLMソリューション営業部
    プロジェクトPLM課
    専任課長
    大坪 浩明
  • PLMソリューション営業部
    首都圏建設PLMグループ 兼
    プロジェクトPLM課
    グループ長 次長
    山田 琢司

2005年よりRevitを販売開始。ライセンス販売だけではなく、業界に精通したコンサルティングとニーズに合わせたセミナーを順次開催。

フリーダムアーキテクツデザイン株式会社 フリーダムアーキテクツデザイン株式会社
  • 事業開発部
    部長
    長澤 信
  • 関東エリア事業部
    プランニングデザイン部
    ヘッドプランナー
    冨田 和義

2014年度の住宅設計の実績は320棟を超える。この実績は、完全独立系の建築設計事務所では全国トップクラス。設立から20年の歴史を持ち、全国14カ所にスタジオを展開。

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