2016年度の税制改正要望で空き家対策の予算拡張

更新日2015年11月01日

国土交通省は8月27日に2016年度の税制改正要望を発表した。要望には、全国で増加している空き家の発生を抑制するための措置も盛り込まれており、前年の1.27倍となる327億円の予算を要求している。今回の空き家対策にかかわる予算の拡張要望には、全国で増え続ける空き家が地域に悪影響を及ぼすことへの懸念がある。

総務省の住宅・土地統計調査によると、1983年から2013年までの間に、空き家は毎年平均して約6.4万戸のペースで増加している。2013年10月1日時点での空き家率は13.5%と過去最高を記録し、戸数は820万戸に上っている。このように増加する空き家のなかでも、老朽化し管理もなされていないいわゆる特定空き家は、ゴミや害虫の発生による衛生面の悪影響や、家屋が倒壊する危険性だけでなく、地域の景観を損ねるなど、特に問題が指摘されている。

税制改正要望の主要項目のなかには、特例措置として空き家の耐震改修、解体にかかわる所得税の控除施策が提案されている。これは、相続した住宅の相続者が、一定期間以内に耐震改修や解体をおこなった場合に、相続人の所得税を控除するもの。控除額は「標準工事費」(上限250万円)の10%で、対象となるのは、被相続人のみが居住していた家屋が相続後空き家になった場合。住宅が空き家になる最も多い原因は、親族からの相続によるもので、全体の44%を占めているが、相続による空き家の所有責任は所有者の意志にかかわらずに負担の必要を迫る。相続にかかわる空き家の費用支援を行うことが、空き家や特定空き家増加の効果的な抑制になると期待しているようだ。

要望ではこのほか、5月26日に完全施行された、空き家対策特別措置法に関連して、自治体が所有者不明の特定空き家の除却を強制執行する際や活用する際の資金補助として、「空き家対策総合支援事業」に20億円を計上。また、専門家などと協力して行う、「先駆的空き家対策モデル事業」には概算要求で1億5,000万円を計上した。

MONTHLY NEWS (建築知識2015年11月号)

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