徹底解説 [ 省エネ住宅 ] 松尾和也氏(松尾設計室)(3ページ目)
更新日2016年0月22日
- P r o f i l e
- 松尾 和也
- (まつお かずや)
- 1975年兵庫県生まれ。一級建築士。
- 1998年九州大学工学部建築学科卒業後、エス・バイ・エル入社。
- 2006より松尾設計室代表取締役。
- 2009年パッシブハウス・ジャパンを立ち上げ、理事としてドイツの最先端省エネ建築の考え方を日本の気候条件に合わせる形で普及促進活動を行なっている。また、冷暖房負荷、一次エネルギーを計算するソフト
- 「建もの燃費ナビ」を開発し、公正な基準に基づく省エネ性能評価の普及に努めている
ざっくりですが、30坪前後の建物の場合で熱交換型換気システムと窓でプラス100万~150万円。 外壁と屋根の断熱で100万~150万円の合計200万~300万円といったところだと思います。
窓の断熱性によって省エネ性能は大きくアップ
─けっして安くない金額ですね。では、優先的に取り組みたい部分はどこでしょうか?省エネ住宅を目指すなら断熱材や太陽光発電より先に窓です。私が設計する家の多くは、年間暖房負荷 が30~60 kwh/㎡年くらいです。トップランナー基準までならば窓を高性能なものにするだけで大丈 夫です。改正省エネ基準にプラス30万円前後の高性能窓にすれば達成できます。窓の熱貫流率を一般的 な4.6W/㎡・Kから2.3W/㎡・Kにすれば30万円前後の増額でQ値は2.5から1.7くらいになります。 窓による対策は費用対効果が高いのです。折りしも’14 年には、熱貫流率1.0W/㎡・K前後と超高性 能で輸入品より安価な国産断熱サッシが数多く発売される予定です。
─そのほかに省エネ住宅を設計するにあたって注意する点はありますか?
数値をきちんと計算することですね。よく講演会などで「ビルを建てる際、勘だけを頼りに鉄筋量を決 めますか?」という話をします。省エネ住宅も同じです。構造計算と同じようにきちんと計算すれば、一 次エネルギー消費量や年間暖房負荷として、どの程度の性能が出るのかが把握できます。
住宅のランニングコストはシミュレーションなしには求めることができません。計算は不可欠なのです。
計算ツールは、結果が非常に詳細で光熱費も実情に近い値が出る「建もの燃費ナビ」があります[図3]。
図3「建もの燃費ナビ」