新国立競技場 隈研吾氏らによるデザインに決定

更新日2016年02月01日

日本スポーツ復興センター(以下JOC)は2015年12月22日、新国立競技場の設計・施工を一貫して行う公募に応じた2者のうち、隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所)と梓設計・大成建設による共同企業体のデザインに決定したことを発表した。

新国立競技場は、基本構想のデザインコンペで選ばれたザハ・ハディド氏のデザインを’15年7月に政府が白紙撤回。9月には、開閉式屋根の設置を断念し延べ床面積なども縮小したうえで、設計・施工一体型コンペの参加者を募集。

ザハ・ハディド氏も当初は日建設計と組んで参加を表明していたが、施工者として組むゼネコンが見つからず、参加を断念した。最終的な応募は2者となった。

12月14日にA者・B者として参加者名を公表せずに技術提案書を発表。両者の案は、コンセプトが「杜のスタジアム」、木材を多用する、’19年11月に完成、建設費が1,490億円前後など共通の要素もあったが、景観に配慮した独自のデザインをそれぞれに提案し、コストや工期を縮減する工法なども盛り込んだ。専門家で構成される「技術提案等審査委員会」は、実施方針、コスト・工期、施設計画などの項目ごとに両案を点数化し、合計980点満点で審査した。その結果、A者(隈研吾氏などによる共同企業体)は610点、B者(伊東豊雄氏・日本設計・竹中工務店・清水建設・大林組の共同企業体)は602点となった。建築計画や日本らしさなどを評価する施設計画の項目では、A者246点、B者270点とB者が上回った。しかし、重要視されていた工期短縮では、A者177点、B者150点とA者が高く評価され、それが決め手となった。

デザイン、建設費などをめぐって多くの問題が表面化した新国立競技場建設は、ようやくスタートラインに立ったと言える。今後は’16年12月に本体の着工、’19年11月の完成を目指す。「後世の人々に長く愛され、活用される施設」となるよう、今後の動向を見守っていく必要があるだろう。


他のカテゴリの記事を読む