三世代同居住宅への改修工事を後押し 減税制度始まる

更新日2016年02月01日

2015年12月16日、自由民主党・公明党による「’16年度与党税制改正大綱」が決定した。住宅関連では、三世代同居を目的とする改修工事をした場合に所得税額の控除を受けられる制度や、空き家に係る譲渡所得が特別控除される特例が創設される。

三世代同居住宅への改修工事特例については、三世代が同居し、子育てや介護を家族どうしで助け合うことで、社会保障にかかる公的な負担を減らすのが狙い。控除の対象は、①三世代同居を目的として、自己所有の家屋に一定の改修工事[※]を実施すること、②’16年4月1日から’19年6月30日までの間に居住の用に供すること、③改修工事費用(補助金等の交付がある場合には、当該補助金等の額を控除した後の金額)の合計額が50万円を超えるもの、とされている。控除方法は、5年間のローン控除、もしくは1年限りの税額控除である。たとえば工事費の上限を250万円とし、ローン控除の場合は、ほかの部分の工事費用と合わせて最大で(5年間合計)62万5千円(ローン残高の2%分)、税額控除の場合は最大25万円(工事費の10%)が控除される。ただし、通常の住宅ローン減税とは併用ができず選択適用となり、どちらが有利になるのかは個々の条件によって異なるため、比較検討が必要である。

空き家に係る譲渡所得の特別控除は、空き家が発生することの抑制を目的とした措置。親などから相続した家屋を売却した場合、売却益から3千万円を控除する。対象は、①1981年5月31日以前に建築された家屋(マンションは対象外)であること、②耐震性がない家屋は耐震リフォームをするか、もしくは家屋を除却して更地にすること、③相続時に被相続人以外の居住者がいなかったこと、④相続してから売却するまでほかの用途に使っていないこと、などが条件である。

2016年1月4日から開催されている通常国会で審議され、同年3月末までには改正法が可決・成立する。

※ キッチン、浴室、トイレ、玄関のいずれか2つ以上を複数に増設する工事

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