一級建築士試験「設計製図の試験」合格者発表
更新日2016年02月01日
国土交通省は2015年12月17日、同年の一級建築士試験「設計製図の試験」受験者の合格率を40.5%と発表した。昨年度の合格率は40.4%で、ほぼ横ばいの数字となった。また、学科と設計製図試験の総合実受験者数は30,462人、総合合格者数は3,774人で、総合合格率は12.4%だった。
今回の試験課題は「市街地に建つデイサービス付き高齢者向け集合住宅(基礎免震構造を採用した建築物である。)」。課題に挙げられた建物が基準階タイプであるため、3階分の平面図作成が求められた。
資格学校大手である総合資格学院は、「自由度の高い設計条件のもとで、課題文から条件を的確に読み取り、自ら判断して計画する能力が例年以上に問われた。構造や設備計画を含めた、より実務的で具体的な要点記述の完成度もかなり重視されたと思われる。加えて、設計者としての実務的な知識や実力のみならず、自らが立てたプランを具体的に、分かりやすく採点者に伝えるための『プレゼンテーション能力』が、合否を左右する大きなポイントになったと言えるだろう」と分析している。実務に裏打ちされた幅広い基礎知識と、着実な応用力を問う出題傾向は、今後も変わらずに続くものと思われる。
合格者の属性は、受験者のなかで最も若い世代である「24~26歳」層の割合が全体の17.0%、「27~29歳」層が26.0%を占めている。特に「24~26歳」層は、過去10年間でも2008年の18.0%に次ぐ高い割合となった。
近年、一級建築士試験の受験者数が減り続けている一方で、合格者は若返っているという傾向は、「若年層の有資格者を積極的に育成し、建築業界における慢性的な人材不足を解決するためのさまざまな政策が実を結び始めていることを示唆している」(総合資格学院)という。同様の傾向は二級建築士試験においても見られることから、建築士資格の早期取得を促す建築業界の趨勢は今後も当分続くことが予想される。