CLTの設計法が確立 技術基準制定で大臣認定が不要に

更新日2016年04月01日

国土交通省は2016年2月8日、直交集成板(以下、CLT)を用いた建築物について、構造や防火上の技術的基準を定める告示案を公表した。CLTパネル工法を用いた建築物についての新告示を制定するとともに、既にある告示の一部にCLTに関する基準を追加する予定だ。

CLTとは、一定寸法に加工した複数枚の板を、繊維方向が直交するよう交互に張り合わせて積層した厚型パネルのこと。寸法安定性や断熱性に優れ、大判のパネルとして利用することで高い耐震性を確保できる。RC造と同等の強度を確保できる場合があり、施工性の高さ、工期の短さなどから注目を集めている。しかし、CLTを用いた建築物を建てる場合、現行の建築基準法ではCLTに関する基準が定められていないため、建物ごとに60m超の超高層建築物と同様に時刻歴応答解析による構造計算を行い、国土交通大臣による認定を受ける必要があった。これには相当な時間と費用がかかることもあり、CLT普及の妨げとなっていた。

国は「公共建築物等における木材利用の促進に関する法律」を制定するなどして、中大規模建築物の木質化を推進している。CLTパネルはこれを可能にする有効な手段であることから、国交省は一般的な設計法の確立を目指していた。実大実験などを実施し、一定の結果を得られたことから、今回、告示を制定・改正することとなった。これにより、CLTの採用が容易になり、設計者の選択の幅も広がることになりそうだ。

公表された告示案は、高さや階数に応じた構造計算方法を明示。材料の厚みや土台、床版、壁、屋根版、接合方法などの基準も定めている。また、CLTを指定建築材料に指定し、品質の基準などを定めるほか、部材の表面部分が燃えても構造耐力上支障のない部分を残す燃えしろ設計における残存断面の具体的数値を規定する予定。

3月8日までに告示案に対するパブリックコメントを募集し、その意見を踏まえ、4月に交布・施行を予定している。


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