厚生労働省が旅館業法緩和を検討 ワンルームでも民泊運営が可能に

更新日2016年04月01日

円安や訪日ビザの緩和などの影響から訪日外国人が増加している。2016年1月19日に日本政府観光局(JNTO)が発表した’15年の訪日外国人観光客数は前年比47.1%増となる1,973万7,400人。JNTOが統計を取り始めた1964年以降、最大の伸び率となり、訪日外国人観光客数も過去最多記録を更新した。一方、訪日外国人の増加に伴い、宿泊施設不足の問題が深刻化している。

これを受けて、厚生労働省と観光庁は有識者による「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を共同で設置し、旅行客をマンションの空き室などの一般住宅に有料で泊める「民泊」について検討を行ってきた。同検討会での検討結果を受け、厚労省は旅館業法を改正し営業を許可する最低床面積の基準を緩和する方針を示した。

現行基準では「33㎡以上の延べ床客室面積」が必要だが、改正後は「収容定員が10人未満であれば3.3㎡(1坪)に収容定員数を乗じた数以上の延べ床客室面積」であることを求める規定へと緩和される予定だ。これにより、一般的なワンルームマンションでも営業許可が得られるようになる。なお、収容定員が10名以上の場合は現行の規定どおり。

民泊をめぐっては、’15年12月に福岡市が人気グループ「嵐」と「EXILE」のコンサート開催に伴う宿泊施設不足解消のため、コンサートが開催される5日間のみ民泊を認めたり[※1]、大阪府や東京都大田区が民泊の規制緩和などを認めた国家戦略特区法に基づき、民泊を希望する事業者に対し要件を満たせば自治体が民泊を認定する条例を制定したりと、自治体による動きも多数見られる。また、’16年2月には東京都大田区で全国初の民泊施設が2物件認定された。大田区が定めた特区民泊の基準は、「滞在期間6泊7日以上で床面積25㎡以上」[※2]。

最終的な緩和内容については、国家戦略特区法などでの緩和措置との兼ね合いなどを勘案しつつ引下げ幅を決定し、’16年度中に省令の改正が行われる予定だ。

※1 ’15年6月30日に閣議決定された規制改革実施計画をもとにした厚労省の見解(イベント開催時に宿泊施設が不足する場合、開催地の自治体が要請すれば旅館業法の適用外とする)に基づき実施された
※2 国家戦略特区法上の基準は床面積25㎡以上

他のカテゴリの記事を読む