BIMにより事前に問題を解決するフロントローディング(3ページ目)

更新日2016年04月28日

「Revit」をうまく活用すれば、設計士の負担が増えることはない

―お話を伺うと、BIMがフロントローディングに有効であることは明らかなように思われますが、従来のやりかたからの移行が進まないのはなぜだと思いますか?

フリーダム・長澤-「Revit」をはじめとするBIMの導入がなかなか進まないのは、まだ使ったことのない設計士が、その分の業務負荷が自分たちにかかるのではないかと誤解しているせいだと思います。
前回記事でも紹介してもらいましたが、「Revit」での基本設計というのは非常に簡単かつスピーディですから、実際にはそんなことはないのですが。

わかりやすい指標

フリーダム・西澤―私は去年の12月に「Revit」のトレーニングを始め、年明けから実案件でも使用するようになりました。基本設計の段階である程度仕上がりを目視でき、ミスを平面図で修正すれば即反映されて図面間の齟齬がないのは、想像以上に安心感がありますね。しかも以前は3Dパースを他の人に頼んでいましたから、人の手を煩わせた後で「想像していたのと違った!」というストレスがないのは気が楽です。

フリーダム・長澤-プランを考え、いろいろと検討している時間というのは設計士が一番楽しい部分です。自分のパソコン上で何度でも試行錯誤でき、図面の修正作業が少ない「Revit」は、設計士にとっては素晴らしいツールになってくれるソフトだと思います。

フリーダム・西澤―「Revit」を活用するポイントは、お客様に提案する段階でどこまで作りこむかだな、というのが私の実感です。今後はメーカー各社のファミリ等も増える予定ですから、必要に応じきっちり作りこむことができるのですが、初期段階で決め込んでしまうとかえって後から修正することが大変になる場合もあります。おおまかに作れば建物を任意の位置、角度、切りたい断面で確認できますから、自分の目で見てエラーを適宜修正。まずは全体の整合性をとることを優先しています。




フリーダム・長澤―フロントローディングは、設計業務を行う者なら当然やらなくてはいけない課題だと考えています。しかし、いままでの2次元の図面が先行するやり方では、早いうちに問題がわからず、後から現場で初めて気がつくミスというのも少なくありませんでした。
「Revit」をうまく使えば、事前にモニタ上で建物を建てることにより、初期段階で問題を浮き彫りにして修正を行うことが可能になる。設計士が行う、上流でのフロントローディングが最も効果的なんです。
お客様のため、設計品質向上のため、そして建築プロセスのスマート化のためにも、ぜひBIMを有効活用していただきたいと思います。

P r o f i l e

  • 事業開発部部長 長澤 信 事業開発部部長長澤 信
  • 設計企画課 西澤 未来 設計企画課西澤 未来
フリーダムアーキテクツデザイン株式会社

2015年度の住宅設計の実績は約380棟を超える。この実績は、完全独立系の建築設計事務所では全国トップクラス。設立から20年の歴史を持ち、全国14カ所にスタジオを展開。

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