日本橋三越本店と雑司ヶ谷の鬼子母神堂 重要文化財へ
更新日2016年08月01日
文化庁は2016年5月20日、新たに12件の建造物を重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申した。東京都内では「三越日本橋本店」「雑ぞう司しヶが谷や鬼き子し母も神じん堂どう」[※]の2つが重要文化財に加わる見通しだ。
三越日本橋本店は、戦前期に多くの商業建築を手がけた横河工務所によって1914年に建築。関東大震災で被災した後、大正期の建物の鉄骨を生かしつつ鉄骨鉄筋コンクリート造に改修した。その後、1935年に各種イベントなどを行う5層吹抜けの中央大ホールが増築され、現在のかたちとなった。文化庁は集客のための仕組みを取り入れながら増改築を重ねた歴史に鑑み、「わが国の百貨店建築の発展を象徴するものとして価値が高い」と評価した。
一方、1700年に建立された雑司ヶ谷鬼子母神堂は「江戸の大名家による寺社造営状況や幕府による建築規制への対応過程をよく示す」ことなど、歴史的価値が認められた。江戸時代から安産祈願などの信仰により庶民の崇敬を集めており、現在も地域の人々の手によって毎年祭礼が開催されるなど地域コミュニティの拠点として機能している。正式に指定が決まれば、豊島区内の有形重要文化材は「自由学園明日館」と合わせて2件になる。豊島区教育委員会は、この2つの重要文化財とほかの史跡などを巡るスタンプラリーツアーを企画中だ。
左:日本橋三越本店外観。古典様式を基調とし、重厚な印象に仕上げている / 中央:日本橋三越本店中央ホール。天井にステンドグラスを配した荘厳な空間 / 右:鬼子母神堂外観。建物の正面1 間分を吹き放し、華やかな礼拝空間としている
画像提供 / 左、中央:株式会社三越伊勢丹 / 右:豊島区教育委員会 ※正しい表記では、「鬼」は上の点がない文字。本文中ほかも同様