熊本地震の最終報告現行耐震基準はおおむね有効と結論

更新日2016年11月01日

熊本地震による建築物被害を分析する国土交通省などによる有識者委員会は、2016年9月30日に最終の報告書を公表した。そのなかで、地震により倒壊した木造建築物の構造的特徴や被害要因の分析を行った結果、接合部の仕様などを定めた’00年6月法改正以降の基準がおおむね有効であった、と結論づけた。

今回の地震で建築物の被害が大きかった益城町中心部では、’00年6月の法改正以後に建築確認を受けた木造建築物323棟のうち、7棟が倒壊。そのうち3棟は、基準よりも不十分な接合部の仕様が被害要因だと確認された[※]。そのうえで、必要壁量が強化された1981年6月以降の新耐震基準は、旧耐震基準と比較して、今回の地震に対する倒壊等の防止に有効であったと認めた。また地震地域係数は、分析した範囲では影響が確認されなかったことから、中長期的に検討すべき課題としており、数値の見直しは見送られることになりそうだ。なお同委員会は、2000年の仕様に適合しないものがあることを指摘し、被害抑止に向けた取り組みが必要と訴えている。

※残り4棟のうち、1棟は地盤の変状が被害要因の1つと考えられ、3棟は明確な被害要因を確認できなかった

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