2016年8月。日本初の「BIMによる建築確認申請」からの
「確認済証交付」が実現!(4ページ目)

更新日2016年11月07日

「Revit」とBIMが可能にする
より高品質な住宅の提供

建築知識研究所―今回の「BIMによる建築確認申請プロジェクト」が、4社の連携によってスピーディに進んだことがよく分かりました。
最後に、今後のBIMの活用・実用ビジョンについて一言いただけますか?

フリーダム―当社が最初に「Revit」導入を決めたとき、その根底にあったのは「設計士は図面書きではない」という想いでした。
我々の本来の仕事は、クライアントと向き合って、その願いを汲み、理想を反映した高品質な家を提案する、ということです。平面図から3Dまでを一人で完結できる「Revit」は、アイデアをスピーディに形にし、クライアントの合意を得るために、とても有効なソフトで、それだけでも十分にメリットがあります。個人的には、小規模な設計事務所ほど活用すべきソフトではないかと感じています。
その一方で、使い慣れてくるほどに、次の課題が見えてくる。建築確認申請がダイレクトにできないという、春先に感じていた負荷は、今回、皆さんのご協力のおかげで解決のめどが立ちました。
現在は最終調整として、提出時のデータにロックをかける、ソフトのバージョンアップへの対応等を4社で煮詰めています。このルールが決定後、より多くの設計士が利用できるように申請テンプレートを公開する予定です。

大塚商会―当社としても、各社のご賛同がいただければ、完成した確認申請テンプレートを拡張機能として展開したいと考えています。

住宅性能評価センター―一般的な個人住宅である「4号建築物」は、建築確認申請において多くを占めます。だからこそ、住宅建築の建築確認申請時にかかる負担は、設計士にとっても、審査機関にとって非常に大きな負荷になっていたわけです。
今回、BIMデータによる申請の有効性が確認できたことで、より多くの設計士・設計事務所がBIMによる設計・申請に取り組むことにつながり、建築確認申請にかかる時間や手間が大いに削減されることが期待されます。今後も省庁や研究機関と連携して推進するよう努めたいですね。

フリーダム―BIMの導入によって、設計士は作図の負荷を減らすことで、ヒアリングや思考に時間をかけることができる。審査機関も、整合性のとれた図面であることが担保され、速やかに確認作業を行い、交付が迅速に進む。
クライアントにより高品質な住宅を提供するためには、やはり家づくりの全工程において、よけいな負荷や時間はかからない方がいい。当たり前のことですが、今回のプロジェクトで改めて実感させていただきました。ご理解・ご協力いただいた皆さんに、心から感謝しています。

P r o f i l e

フリーダムアーキテクツデザイン株式会社
事業開発部部長 長澤 信

株式会社住宅性能評価センター
部長代理 松本 鋭一

オートデスク株式会社
事業開発マネージャー 内山 敏昭

株式会社大塚商会
次長 山田 琢司

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