コストコスロープ崩落事故 1審有罪から逆転無罪に
更新日2016年12月01日
東日本大震災時にコストコ多摩境店で起きた崩落事故に関して、1審で業務上過失致死傷罪に問われ有罪となった構造設計者の被告に対し、東京高裁は2016年10月13日、逆転無罪判決を言い渡した。
この判決で同業者が無罪となり、安心した構造設計者も多いだろう。しかし、判決内容に対し不安が残るという声も同業者からあがっている。というのも、判決では「元の設計者にも責任がある」としているが、設計変更を被告に依頼した人物から、元の設計者は変更を知らされていない。本人の関知しないところで行われた設計変更に対しても責任を求める点は問題がある。また、設計監理に関する議論が抜けている点も看過できない。
今回の裁判は、震災で建物が被害を受けた事故として初の刑事裁判であり、今後の模範となりうる。そこで上記のような問題点を含む判決が前例とされれば、業界にとって不利益となることが懸念される。