一級建築士試験「設計製図の試験」合格者を発表

更新日2017年02月01日

国土交通省は2016年12月15日、同年の一級建築士試験「設計製図の試験」受験者の合格率を42.4%と発表した。昨年度の合格率は40.5%で、昨年から約2ポイント上昇した。

今回の試験課題は「子ども・子育て支援センター(保育所、児童館・子育て支援施設)」。近年の「少子化問題・待機児童問題」を意識したものだと推察される。課題では地上3階建てとすることが要求され、昨年同様、3階分の平面図の作成が求められた。

資格学校大手である総合資格学院は、今回の出題を次のように分析する。「課題のテーマとともに示された『パッシブデザインを積極的に取り入れた建築物の計画』『地盤条件を考慮した基礎構造の計画』『天井の高い居室における天井落下等防止対策の考え方』など、実務に則した知識が求められた。さらに回答には図面への補足やイラスト、システム図も要求されるなど、表現についても多くの指定があった。知識だけでなく、計画を分かりやすく伝えるプレゼンテーション力が合否を左右する大きなポイントになった」。実務にかかわる幅広い知識、応用力が求められる傾向は、今後も続くものとみられる。

学科と設計製図試験の総合実受験者数は30,648人、総合合格者数は3,673人で総合合格率は12.0%弱[※]。合格者の年齢は、「24~26才」層が全体の15.5%、「27~29才」層が27.0%、「30~34才」層が27.0%、「30~35才」層15.3%、「40才以上」層が15.2%となり、平均年齢は32.5才だった。総合合格者数は昨年から約100人、平成23年からは約900人減少している。団塊世代の退職による慢性的な技術者の不足が問題視される一方で、一級建築士の合格者が減少しているのが現状だ。そうしたなか建設関連の企業では、「資格取得を考える若手社員の業務量を調整するなど、建築士資格の早期取得を促す施策をすすめる動きが活発化している」(総合資格学院)という。建築業界全体で、若い世代を育成する態勢を整えていくことが求められる。


※ 総合実受験者数には、2014年または’15年に行われた「学科の試験」合格者のうち’16年の「設計製図の試験」を受験した人も含む

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