建物状況調査に関する法律が2018年4月から施行

更新日2017年03月01日

2016年6月に成立した宅地建物取引業法の一部を改正する法律の施行日を’18年4月1日(一部は’17年4月1日)からとすることが、去る’16年12月20日に閣議決定された。

中古物件は新築物件とは異なり、維持管理や経年劣化の状況により品質に差がある。事前に物件の状況を把握できれば物件購入や購入後の補修工事、リノベーション工事にかかわる方法や費用の目安として役立つ。

この法律改正により、宅地建物取引業者などが中古住宅を売買する際、①媒介契約時に建物状況調査(インスペクション)の実施を斡旋できるかどうかを記載した書面の交付、②購入者に対して建物状況調査の結果の概要などを重要事項として説明、③売買などの契約の成立時に建物の状況について売却者と購入者の双方が確認した事項を記載した書面の交付、といった建物状況調査に関する規定が義務付けられる。

建物状況調査は、戸建住宅、共同住宅などの規模を問わず、その対象となる。検査の調査方法は基礎や外壁などの部位ごとに、ひび割れや欠損などの劣化状況や不具合などについて、目視や触診、打診、計測を中心に行う。場合によっては非破壊検査機器を用いた検査を行うが、住宅所有者の同意を得る必要があることから、原則として破壊調査は実施しない。そのため、足場などを使わずに目視で点検できる範囲が調査対象となる。共同住宅では専有部分の目視可能な部分が範囲となる。報告時には調査内容のほかに設計図書やリフォームの工事記録、確認済証・検査済証など関係図書の有無を確認した結果も報告する。

これら建物状況調査に関する規定の義務化に先立ち、’17年4月からは研修の実施など業界団体の努力義務規定が施行される。しかし、建物状況を調査する際の中立性、検査業務を行える建築士や建築施工管理技士などの確保、依頼者に説明する際の内容や書類の雛形など、’18年4月までに解決すべき問題点はまだまだ多い。


他のカテゴリの記事を読む