国土交通省、インスペクター(既存住宅状況調査技術者)の講習制度を整備
更新日2017年05月01日
国土交通省は2017年2月3日、中古住宅の建物状況調査(インスペクション)の講習を行う団体の登録を開始した[※1]。既存住宅売買瑕疵担保保険の活用などと併せて、売り主・買い主が安心して取引できる市場環境を整え、中古住宅市場を活性化させることが狙い。また、’18年4月に施行される宅地建物取引業法の改正に合わせた整備でもある[表]。
国交省は’13年からインスペクターの育成に積極的に取り組んでおり、各種団体などで講習を行ってきた。ただし、今回の新制度に準拠した技術者登録を行うには、改めて受講が必要だ。受講の条件は、建築士(1級、2級、木造)の資格を有していること。講習は、「既存住宅状況調査方法基準」をもとに行われる[※2]。主な建物状況調査の方法は構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の調査、耐震性に関する書類の確認などだ。
登録講習を実施する一般社団法人住宅瑕疵担保責任保険協会・小野義和氏によると、講義は5時間程度[※3]で、調査方法と宅地建物取引業法で定める書面の書き方について行う。3月24日に開始された受講者募集の応募者は、4月4日現在ですでに約1,000名。これまでのインスペクターの講習に比べ2倍近いペースでの申込みとのことで、関心の高さがうかがえる。その一方で「買い主には制度が知られていない」と同協会は見ており、市場の活性化につなげるには、制度自体のさらなる広報が不可欠であろう。講習は、同協会のほかに公益財団法人日本建築士会連合会でも受けられる[※4]。
※1 平29年国交告81号
※2 平29年国交告82号
※3 すでに住宅瑕疵担保責任保険協会の既存住宅現況検査技術者の講習を受講している者については約3時間
※4 住宅瑕疵担保責任保険協会 http://www.kashihoken.or.jp/、日本建築士会連合会 http://www.kenchikushikai.or.jp/