新耐震基準の木造住宅を対象とした
耐震性能検証法が新設

更新日2017年07月01日

2017年5月16日、国土交通省は「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」(以下、新耐震木造住宅検証法)の新設を発表した。同法は2016年に発生した熊本地震において、 1981年の新耐震基準以降の建物でも被害が報告されたこと(2000年以前に建設された木造住宅の倒壊など)を受け、今後このような住宅がリフォームの対象とされる機会が増えると目されることから、耐震性能を効率的に検査する方法として新設された。

検査の対象とされるのは、コンクリート基礎の在来軸組構法、平屋または2階建て、1981年(昭和56年)6月1日~2000年(平成12年)5月に建築された木造住宅。日本建築防災協会が取りまとめたガイドラインによると、検査の流れは、建物の所有者など構造の専門家ではない者による簡易的な検査の結果、必要と判断された場合は専門家による効率的な検査へと移行する[表1]。検査を効率化するために、所有者の簡易検査や専門家が現場に行く必要のない方法が採用されている点に特徴がある。

新耐震木造住宅検証法は、まず所有者が4つのチェック項目[表2]において必要な基準をクリアしているかどうかを確認することから始まる。建物の状態が項目の基準をクリアしていない場合は、所有者が専門家による「一般的な検査」か「効率的な検査」のどちらかを選択する。同法の制度に該当する後者を選択する場合は、設計図書と建物の現況が一致していることを確認する必要があり、“図面と現況が一致しない”“そもそも図面が存在しない”などは前者の検証方法となる。現況が図面と一致する場合は、建物の各必要部位の写真を撮影し、専門家に必要な情報を提供する。専門家は、直接現地を調査することなく、所有者から提供された図面や写真などの資料を基に審査を行い、耐震改修の要否を判断する。

同法の詳細は日本建築防災協会のホームページ(http://www.kenchiku-bosai.or.jp/)に掲載されている。

※1 無開口壁とは窓やドアなどの開口部がない壁のこと

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