リオタのディテール流儀 ― 関本竜太「板金屋根の基本知識を押さえる」(2ページ目)
更新日2017年11月07日
その2「屋根は頂部と端部で決まる」
[写真:新澤一平]
立はぜ葺きと横葺きでは屋根端部の納まりも異なるため、意匠上の見え方にも影響を及ぼすことがある。その違いを理解していないと、現場に入ってから意匠上の変更を迫られたり、吹き上げた雨により漏水を起こすこともある。その1では意匠上の表現や納まりなどから屋根の葺き方を考えたが、ここでは止水上の勘所を押さえたうえで、その違いと注意点について検証してみたい。
コラム 庇はシンプルに納めたい
建具の保護や日除けのために、あるいは小雨時にも通風が取れるようにといった目的から、住宅には小庇がよく用いられる。小庇は、一般的には唐草を使った納まりにすることが多い。ただその場合、線が多くやや和っぽくなる嫌いもあり、筆者はなるべくシンプルで、線の少ない庇にするために庇納まり①~④のような手法を用いている。唐草を使わないと、釘を使えなかったり、折り方にも工夫が必要で逃げのない納まりとなるため、より高度で繊細な施工が要求される。しかし、こういう一手間をかけた逃げのない納まりがきれいに施工されていると、建物がとても丁寧に作られている印象となる。
- P r o f i l e
- 関本 竜太
- [せきもと りょうた]
1971年埼玉県生まれ。’94年日本大学理工学部建築学科を卒業し、’99年までエーディーネットワーク建築研究所に勤務。2000~’01年フィンランドのヘルシンキ工科大学(現アールト大学)に留学。帰国後’02年にリオタデザイン設立
人物イラスト:オオノマサフミ/イラスト:堀野千恵子