リオタのディテール流儀 ― 関本竜太「湿式ならではの外壁表現を考える」(2ページ目)

更新日2017年11月30日

その2「下地とエッジを注意深く納める」

紫陽花の家[※4][写真: 新澤一平] 紫陽花の家[※4][写真: 新澤一平]

湿式外壁において施工上最も重要なのはクラック対策である。下塗りの際に可能な限りクラックを誘発させるため、工期が押していても下地の乾燥期間を十分に確保したい。また最低限、グラスファイバーメッシュも併用すべきであろう。湿式外壁を美しく見せるには、エッジ(外壁端部)の納まりが非常に重要となる。余計な部材はなるべく排し、最小限の要素でシャープに納めたい。

図2-1 軒天井

その3「湿式外壁と木素材を組み合わせる」

湿式外壁はそのシンプルさゆえに、単一の仕上げで使用すると、単調で間延びしたような印象になるケースもある。そんなときは木素材をアクセントに使うとよい。無機質な湿式外壁と有機的な木素材の相性はすこぶるよい。特に、アプローチなどのアイレベルとなる地上から2m程度の高さに木素材を配置すると、建物にふんだんに木が使われているかのような印象となる。

図3 湿式外壁と木外壁を組み合せる
事例4 紫陽花の家[※4] ※4「紫陽花の家」では木製パネリングと左官外壁を併用することで表情豊かなエントランスを演出している。納まりは事例4および図3参照
関本 竜太
P r o f i l e
関本 竜太
[せきもと りょうた]

1971年埼玉県生まれ。’94年日本大学理工学部建築学科を卒業し、’99年までエーディーネットワーク建築研究所に勤務。2000~’01年フィンランドのヘルシンキ工科大学(現アールト大学)に留学。帰国後’02年にリオタデザイン設立

人物イラスト:オオノマサフミ/イラスト:堀野千恵子
建築知識研究所

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