リオタのディテール流儀 ― 関本竜太
「より効果的な吹抜け空間のつくりかた」(2ページ目)
更新日2018年01月31日
その2「温熱環境に考慮した吹抜け空間」
竹林の家[写真:バウハウスネオ]
吹抜けの弱点は、周到にプランニングを行わないと快適な温熱環境を保ちにくいことにある。かといって各所に仕切りばかり増やしてしまうと、せっかくの開放的な空間が台無しになってしまう。建物全体の断熱性能の向上と併せ、ガラスや引込み戸などにより、必要なときに空間を仕切れるようにしておくことが望ましい。また、床暖房やシーリングファンなどとの組み合わせも効果的だ。
その3「子供室は吹抜けでつなぐ」
川原の家[写真: 新澤一平]
3階建てなどでは、家族の居場所が階で別れ、分断されがちである。最も考慮すべきは子供室の位置で、孤立を避けるために、ほかの家族の居場所とせめて吹抜けでつなげたい。この住宅はキッチンの真上に子どもの空間をつくった事例。吹抜け越しに親子がコミュニケーションできるので、母親にとっても子どもにとっても、ほどよい距離を取り合える理想的な位置関係となった。
- P r o f i l e
- 関本 竜太
- [せきもと りょうた]
1971年埼玉県生まれ。’94年日本大学理工学部建築学科を卒業し、’99年までエーディーネットワーク建築研究所に勤務。2000~’01年フィンランドのヘルシンキ工科大学(現アールト大学)に留学。帰国後’02年にリオタデザイン設立
人物イラスト:オオノマサフミ/イラスト:堀野千恵子