3Dが立ち上がったら即、VRで確認。
BIM×VRの導入によって成長著しい若手設計士のリアルレポート。(2ページ目)
更新日2018年07月31日
広さ、高さ、サイズ感が手に取るように分かる
設計工程のいたるところでVRを活用するメリット
建築知識研究所― 「Revit」のポテンシャルに目覚めたおふたりは、現在BIM×VRを活用しどんどん実績を積まれていると伺っています。
設計工程のどんな部分で、VRを使っているのでしょう?
藤目― どんな部分というよりも、ほぼ最初から最後まで、フェーズごとにVRを挟んでいるという感じです。
打ち合わせをしてラフをまとめ、Revitを立ち上げてBIMデータができたらすぐVRで確認。修正すべき箇所が見つかったら、データを修正し、またVRで確認。
BIMデータからVRデータをつくるのは「Revit LIVE」またはEnscapeのアドイン機能で簡単にできます。VRでの確認を後回しにして、後になってからミスに気づいたときの方がリカバリが大変ですので、設計している間は頻繁にVRゴーグルをかけて、図面の中を動き回っています(笑)。
建築知識研究所― VRではどんな点を確認しているのですか?
青木― 最初は、空間の広さ、天井の高さ、見え方などです。また、プランの初期段階から家具を入れて、サイズ感や動線なども確かめます。
本来、施工が始まってみないと分からなかった〝現物感〟を、設計段階から何度でも確認できるのはとても新鮮ですし、勉強になりますね。
藤目― しかもその感覚を、自分だけでなく同僚や上司と共有することで精査して、よりよいプランをお客様にご提案できます。
だからプレゼンテーションの場でも自信をもって説明できますし、疑問に対しても明確な答えが出せてお客様の反応もいいです。結果、成約率も高くなるので、またそれが実績と自信になります。
顧客サービスやプレゼンのためだけではもったいない
設計士育成にも有益なBIM×VR
建築知識研究所― 百聞は一見にしかずといいますが、「BIM×VR」は本当に設計士にとって強い味方になりうるようですね。
藤目― 2D図面で設計していった場合、建物が竣工してから「大失敗ではないが、もっとこうしておけばもっとよかった」と気づくケースが設計初心者にはありがちです。しかし、BIMとVRならばそういう心配はありません。
自ら設計した家が実際に施工され、完成して現物を見るには、相応の時間がかかります。これまでは何十戸もの実邸を建ててみないと身につけられなかった、広さや高さ、サイズの勘所が、バーチャルとはいえ速やかに、何度も経験できることが、設計能力を向上させ、設計士の成長スピードを早くすると体感しています。
実は先日、チームの仲間みんなで感心したのですが、ほかの人が描いた平面図を見た青木さんが「これ、ベッド入りますか?」といいだしたんです。それで、確かめたらやはり入らなくて、ベテランでもすぐには気づかない違和感が、「Revit」を使いだしてわずか半年でもう分かるんだなあと……。
青木― ありがとうございます。もうひとつ、私の実感として「Revit」で設計するのは、本当に楽しいし、ストレスがないんです。
以前のように、整合性がとれているのかどうかと、自分でも不安を感じながらプランニングしたり、工程が進んでしまってからミスに気づいて作図をやりなおしたり、そういう負荷が驚くほど少ないので。
設計の一番おもしろいところにじっくり手をかけられるようになって、仕事がとても楽しくなりました。
建築知識研究所― 社長の邸宅設計室は、フリーダム社内でも残業が少ない部署だとも伺っています。人材育成や職場環境改善という点でも「Revit」が大きな成果を出してくれていることがよくわかりました。
P r o f i l e
建築事業開発部・社長の邸宅設計室藤目 源紀
建築事業開発部・社長の邸宅設計室青木 若菜
2016年度の住宅設計の実績は約400棟。
この実績は、完全独立系の建築設計事務所では
全国トップクラス。設立から20年の歴史を持ち、
全国16カ所にスタジオを展開。