BIMデータ×VRを活用したプレゼンが生む、さらなる説得力

更新日2017年08月29日

BIMデータ×VRを活用したプレゼンが生む、さらなる説得力

フリーダムアーキテクツデザイン株式会社

日本におけるBIMによる住宅設計の先駆者ともいえる、フリーダムアーキテクツ (以下 フリーダム)。同社は今年5月、3D建築ソフト「Revit」の開発元であるアメリカ・オートデスク社との業務提携を行い、BIMの推進・普及にますます注力していくことを発表した。
そんな同社が、「Revit」およびBIMデータを活用することで可能になった、最新の成果について紹介する。

BIMによる住宅設計プロジェクトスタートから1年半
クライアントと設計士、双方にメリット


建築知識研究所―大塚商会との緊密なタッグではじまった、「Revit」を用いたBIMによる住宅設計プロジェクト。スタートから、ほぼ1年半が経ちました。昨年には建築確認申請までの流れも構築され、BIMで設計された案件の実績が、貴社の中では着実に増加しているようですね。

フリーダム・長澤信設計企画部長―そうですね。先進的な取り組みとして業界内の注目を集めており、大塚商会さんとの取り組み以降、様々な会社とも協力体制を組むことができるようになってきました。大手メーカーからのBIMモデルに関する相談が増えていますし、ファミリのデータ提供も増えて、ますます充実してきました。

建築知識研究所―当初からおっしゃっていた「家作りのフロントローディング」という課題は改善していますか?

フリーダム―効果は確実に出ていますね。クライアントと設計者の意思疎通と合意が早くなり、後工程に入ってからもの決め(=設計変更)が少なくなりました。
それ以外にも、設計者の成長という観点からも、BIM、そしてVRとの組み合わせが大いに効果を上げていると感じています。

建築知識研究所―BIM+VRによる人材育成、ということでしょうか? それはなぜなのでしょう?

フリーダム―通常の設計では、自分で書いた図面に沿って、建物が出来上がるのには、だいたい1 年かかります。考える・書く・調整するだけでなく、着工して完成したものを見るまで関わって、はじめて「設計者としての実績」がひとつ積みあがる。非常に時間がかかりますが、そうやって設計者は経験を積んできました。
しかしBIM+VRなら、午前中に書いた図面を、午後には自ら空間内を歩き体験し、確認することができる。設計段階からVRを使い空間をチェックすることで、実際の家が建ったイメージを体感できますし、社内レビューや上司のチェックもVRで共有することができます。
VRで気づいたことがあれば、何度でもやり直しがきく。自ら体感して納得したプランですから、クライアントへのプレゼン時にも自信を持って提案できるんです。
1年がかりだった設計者としての成功体験や失敗体験が、わずか1日で獲得できる。しかも何度でも改善できる。この早い回転フローは、特に若い設計者を急成長させます。
BIM設計室のメンバーは、初期段階から3次元で空間を考える癖がつき、著しい成長を見せてくれています。

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