リオタのディテール流儀 ― 関本竜太
「木製建具で軽やかな空間を作る」
更新日2017年08月31日
木製建具で軽やかな空間を作る
住宅に求められる気密・断熱性能が年々高まるなか、製作の木製建具は、季節ごとの狂いや隙間風の問題から嫌われる存在になりつつある[※]。にもかかわらずなぜ木製建具にこだわるのかと言えば、味わいや温もりといったことに加え、空間的な魅力や大きな解放感が得られるからにほかならない。
建築主には、その辺りのメリットと、将来的なリスクについて事前によく説明するとともに、設計上の配慮と併せ致命的なクレームを避けられるよう心がけたい。ここでは、無理なく木製建具を設えるポイントについて解説する。
その1「大型木製建具の存在感を消す」
建具を引込んで全開放し、外部へとつなげることは、理屈抜きに気持ちがよい。ところが建具は、開放される時間よりも閉じられている時間のほうが圧倒的に長い。閉じている時にいかに建具の存在感を消し、外部とつながるような空間にするかという点に、設計者の技量が問われる。この事例では、全開放になるだけではなく、四方框もすべて内部から見えないように隠している。
※また、防火・準防火地域において、「延焼のおそれのある部分」に該当する開口部では、基本的に木製建具は使用できない(防火認定品であれば使用可能。ただし、サイズや形状に制限があるので注意)