徹底解説[ 屋 根 ] 本間 至氏(ブライシュティフト)(2ページ目)

更新日2015年06月05日

屋根と外壁を一体化させて
外観を美しく整える

─本間さんが手かける都市型の住宅は、屋根と外壁を一体化させている点が特徴的です。このデザインの意図を教えてください。

けらばを美しく見せるために、屋根材を外壁面まで伸ばして一体で納めています[図2]。確実に外壁通気するためには、妻側に破風を設けます。すると、妻側から屋根を見た際のけらばの納まりが非常に悪く、見栄えもよくありません。破風をなくして屋根と外壁をフラットにつなげることで、外観をすっきりと見せているのです。

また、破風を設けずに外壁通気や屋根通気をしようとすると、雨仕舞いの問題が生じます。それを避けるためもあって、屋根と外壁を一体化するデザインを採用することが多くなっているのです。

─まさに「魅せる屋根」ですね。

ほかにも意匠的に外壁に屋根と同じ素材を用いて、窓を整理することもできます。窓の配置は内部プランによって決まるので、外からはランダムに並んでいるように見えます。そのとき、一番下に配置した窓を基準にし、屋根と同じ素材で囲み、ラインを合わせるのです[写真1]。出窓を設けている場合は外壁をふかし、フラットに納めるなどして外形を整えます。

─軒についてどのようにお考えでしょうか?

軒を出せば必ず、建物の外壁を守れるとは限りません。余裕のある敷地に建つ平屋で軒が長く出ていれば、外壁への雨のかかりは少なくなりますので、軒を出すのは有効です。壁に水を伝わせないことが最も大切であり、水を切る処理をきちんと施すことが肝要なのです。

一方、都市部などの狭小敷地では、3層・4層と階が重なるケースも多く、軒を出しても、結局、下部は雨ざらしです。また、最近は雨で汚れを落とす外壁材も多くあり、軒下の雨が当たらない部分に付着したほこりや汚れが落ちないという状況もあります。ですから、都市部の住宅で軒を深くすることは賢明とはいえません。

事例1代沢の家(都市住宅の例)

03 03 1. 北側のファサード。屋根と外壁に同じガルバリウム鋼板を使用した例。サイズと位置の異なる窓をガルバリウム鋼板でまとめた 2.破風や鼻隠しは設けずに、登り淀や広小舞のみを外壁面から40㎜出して、ガルバリウムで巻き込む

■図1 立面図( 北側)[S=1:250]

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■図2 断面図[S=1:250]

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■図3 軒先詳細図[S=1:20]

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建築知識研究所

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