徹底解説 [ 地盤・基礎 ] 小長井 一男氏(横浜国立大学教授・都市イノベーション研究院(2ページ目)

更新日2015年07月03日

─地形図を確認する際、特に気をつけることについて教えてください。

傾斜地や、切土・盛土があるところは特に注意が必要です。仙台市もそうでした。東日本大震災で大きな被害が出た場所の1つに盛土の上に建てた団地があり、しかも傾斜地でした。やはり谷筋を埋めた場所だったうえに、その谷筋が傾斜していて、地盤が地震動と関係なく、普段から動こうとしていたことが分かります。そこに大きな地震が起きてしまったのです[図2]。

2007年の中越沖地震では、新潟県柏崎市などでかなり多くの木造家屋が倒壊しました。原因の1つとして、建築年代の古い家が多かったことが挙げられます。もう1つは、柏崎は砂丘の上にできた街だということです。砂丘というのは風上側になだらかな斜面、風下側に急な斜面ができます。調査では、その急な斜面に近い場所に建っていた家屋が軒並み被害を受け、地盤に開口が入っているのが明らかになりました。砂そのものは支持力があるのですが、全体を支えている斜面の根元が動いたことで、大きな被害につながったのです。

─地形図を調べる以外に、危険な地盤を見分ける方法はありますか。

たとえば、道路や鉄道の補修記録を見ると、頻繁に工事をしている場所があります。そのような場所は、地盤が弱い傾向にある可能性があります。道路や線路などに亀裂が入ったり、不具合が生じたりする回数が多いということは、地盤が少しずつ動いている可能性があるのです。各自治体などに問い合わせて、工事記録を調べてみるとよいでしょう。

事例2仙台市の被害の様子

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1.仙台市青葉区の丘陵地で谷を埋めてつくられた住宅地。直線であった道路が大きく曲がるほど変形し、右手の家の側壁は崩れ、道路に向かって家屋がすべり出している 2.地盤変形により、道路右側の家屋が大きく沈み、道路から離れてしまっている。道路にも大きな地割れが走っている
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