徹底解説 [ 地盤・基礎 ] 小長井 一男氏(横浜国立大学教授・都市イノベーション研究院(4ページ目)
更新日2015年07月03日
- P r o f i l e
- 小 長 井 一 男
- (こながい かずお)
- 1952年静岡県生まれ。
- 1979年東京大学大学院博士課程中退。
- 1982~1987年長岡技術科学大学工学部建設系助教授。
- 1985年アメリカ・ヒューストン大学土木工学科研究員。
- 1987~1997年東京大学生産技術研究所助教授。
- 1997~2011年東京大学生産技術研究所教授。
- 2011年から現在まで横浜国立大学教授。
- 国内外44の地域の地震被害調査154回の経験を踏まえ、
- 地震時の地盤変形と社会基盤施設、地震時の地盤と構造物の
- 相互作用について研究している。
液状化そのものへの対策ではありませんが、もし地震が起きて液状化しても、基礎や構造をしっかりとつくり、家そのものが壊れないようにしておく方法は有効です。杭を打つのはもちろん効果的ですし、水を抜くための砂杭も有効です。地盤全体に液状化対策を施すには非常にコストがかかりますが、表面からある程度のところまでを地盤改良するだけでも一定の効果があるとする研究成果も出ています。また、万が一液状化して基礎が傾いてしまった場合、家をジャッキアップして建物とそれをつなぐ埋設管などを修復できるように、あらかじめ考えておくなどの対策も考えられます。
─まずは地盤を調べて、問題がありそうなら液状化などの対策をしておくということですね。東日本大震災では津波の被害も甚大でしたが、1933年の昭和三陸地震でも大きな津波被害があり、当時も航空写真を撮って、津波が押し寄せてくる様子を記録していました。そして、「この町は高台に移転しなくてはいけない」とか、「この場所には家を建ててはいけない」などと国が判断して復興計画を決めていたのです。その計画に沿って復興がなされ、その状況は戦後まで残っていたのですが、戦後復興でそれどころではなくなり、家が建ってしまった。そこに今回の津波が襲ったわけです。つまり、結果的に過去の教訓よりも現実の生活が優先されてしまった。その結果、再び同じような計画を立て、忘れてしまうため同じような震災に見舞われるということを繰り返します。
現在はウェブサイトなどでさまざまな情報を得られる時代です。一度被害に遭った場所は、大きな地震が起きると再び被害を受ける可能性が高い。このことを踏まえ、過去の記録なども調べたうえで、必要に応じた対策をとることが大切なのです。