近い将来、必ず訪れる建築確認申請図面も「Revit」で、の時代(2ページ目)
更新日2016年08月04日
フリーダムと検査機関、双方のヒアリングを元に
大塚商会が作成した「確認申請用テンプレート」
大塚商会・桐谷氏―ご相談を受けて、当方ではまずフリーダム社内でヒアリングを行いました。現状、どのような確認申請用図面を作っているのか、ということを見せていただき、そこにどんな手間やコストが発生しているのかを伺ったのです。その上で、指定確認検査機関に問い合わせを行いまして、改めて、検査機関が申請用図面に求めている情報・データのチェックリストをもらいました。
こうして集めた双方からの情報提供を反映し、当社で「Revit用の確認申請テンプレート」のたたき台を作ってみたのです。
フリーダム―はじめにしたのは、確認申請に記載する項目のルール化です。
設計図書は建築基準法に則る形で設計していますが、その根拠の記載をいちいち記載するのが面倒なんです。ですから、確認申請に表記する項目を自動化できれば、設計士の業務が効率化できると思い、テンプレートの作成を大塚商会に依頼したわけです。
建築知識研究所―「Revit」導入時からのパートナーですから、社内事情を正直に打ち明けられる関係性が築かれているのですね。
フリーダム―具体的なツールの話ではく、シンプルに「こうしたい」と。いつも無理なお願いをしていますし、専門的な内容の要望が多いのですが、大塚商会の担当者は、建築に関する知識も自ら勉強し、提案していただけるのでとても助かります。
「指定確認検査機関」も求めていた
よりスマートな確認申請の手段
フリーダム―記載項目のルール化にあたっては、どこの図面に何を書くというところから確認検査機関と詰めて決定しました。そのため、完成した確認申請テンプレートの図面は、わずか5枚で完了するのです。
改めて、大塚商会が作成したテンプレートを見ると、非常に効率化されていることがわかります。それは作る方、見る方にも共通して言えることです。
建築知識研究所―その枚数で、必要な情報はすべて網羅できているのでしょうか?
大塚―そのあたりは、検査機関に確認をとって「必要充分」というお墨付きをもらっています。テンプレートを作る際に分かったのですが、「Revit」が集約している各種データのうち、確認申請に必要なチェックポイントというのは、ごく一部でした。したがってテンプレートは、必要なデータだけを表示(=不要な情報を表示しない)し、申請用マニュアルに則った表記方法にあわせる、というだけのシンプルなものにしたのです。
フリーダム―設計士は設計段階で必要な建築基準法、その他の条例、技術的な検討はすべて網羅して設計をしています。だから設計が進むにつれて図面上の情報はどんどん増えていきます。
しかし確認申請テンプレートは、図面の持つ膨大な情報を自動的に整理し、確認申請に必要な情報のみを表記する。LOD(Level of Development)の考え方を生かした情報整理テンプレートとなっています。
建築知識研究所―そのテンプレートで作った確認申請図面に対して、検査機関の反応はいかがでしたか?
大塚―非常に良好でした。むしろ、これまでの申請図面は煩雑すぎて、チェックする機関側としても負担が大きかったようです。
フリーダム―検査機関との打ち合わせの中では「図面間の齟齬をチェックするのが大変」という問題があげられていました。それがRevitのデータであれば、平面図と立面図が喰い違うということはありません。検査機関としては各図面間の整合性が取れていることを前提としてチェックできるので、本来の検査業務に集中できるという利点があるわけです。
※参考「基本設計段階で「構造フレームとの整合性」を確認。確かめられない、という現状を改善」
(参照 http://freedomlab.jp/news/view/201604281)
建築知識研究所―検査機関にもメリットのある、スマートな確認申請テンプレートができたわけですね。