地盤の違いが明暗を分けた熊本地震被災地を地盤のプロはどう見たのか?(2ページ目)
更新日2016年08月31日
【第1次調査レポート】
4月16日、本震直後に入った現地で
軟弱地盤に集中的な被害の発生を確認
建築知識研究所―では、まず第1次調査の結果から教えてください。
地盤ネット総合研究所―本震があった4月16日当日に、最も被害が大きかった熊本県上益城郡益城町(震度7を2回観測)に、緊急調査に入りました。
益城町は、北東の阿蘇方面に伸びる布田川断層帯と、南西の八代方面が交わる日奈久断層帯が交わる位置にあり、この2つの断層の活動が今回の2度の震度7を引き起こしたと考えられています。
地盤ネットが公開している「地震安心マップ」でも活断層の位置を公開していますが、今回現地調査で確認された活断層のずれもおおむね一致していました。
こうした地理的条件を前提に被災地を調査したところ、益城町役場は地盤の安定した台地上にあり、周辺家屋の被害も限定的でした。もちろん台地上でも住宅の被害は見られたのですが、これは強い地震動や、元々建物が老朽化で傷んでいたことが大きな原因でしょう。
一方で、築浅にも関わらず倒壊している家屋もあり、これは建物の耐震性や施工に問題があったと見られます。
■比較的安定した台地上で見られた家屋の被害
■被害甚大だった低地や斜面立地
一方、役場から南東側に下った谷底低地や、斜面の切り盛り地盤における家屋の被害は甚大でした。
低地や斜面はもともと地盤がゆるいのですが、このエリアを宅地開発する際に、谷筋に沿って腹付盛土を行った、いわゆる〝切盛り境界〟で造成した家屋が多かったことが、被害を拡大したと考えられます。
建築知識研究所―まさに地盤の違いが明暗を分けた、という感じですね。