地盤の違いが明暗を分けた熊本地震被災地を地盤のプロはどう見たのか?(3ページ目)

更新日2016年08月31日

【第2次調査レポート】
4月20~23日、内陸部に被害が多かった熊本市街
かつての川筋に液状化の帯が

地盤ネット総合研究所―続いて4月20日からは、熊本市街に調査に入りました。市内では多くの地点で液状化が発生していたのですが、ここで特徴的だったのが、沿岸部より内陸部での家屋被害が目立ったことです。
東日本大震災の際には、浦安や豊洲といった湾岸の埋立地に液状化が見られたのですが、熊本の場合は内陸の被害が大きかった。特に被害が大きかったのが〝旧河道〟といわれるエリアで、水路を埋め立てた長さ5km・幅100mの細長いエリアに、線状に液状化が広がっていたのです。

地盤ネット株式会社「地盤安心マップPRO」より

建築知識研究所―しかし、川筋や埋立地は地盤が弱いということは、一般的な常識ではないでしょうか?

地盤ネット総合研究所―確かにそうなのですが、熊本市内は近代の急速な埋め立てだけでなく、加藤清正の統治時代から河川の流路変遷などが行われてきました。こうした時代背景までを誰もが理解しているか、調べて知ることができるかといえば、それは難しいでしょう。現在、地表に現れている姿から、液状化リスクの有無を見分けるのは、ほぼ不可能なのです。
そういった問題に対応すべく、「地盤安心マップPRO」では、旧版地形図・過去の航空写真・液状化マップ等・既存資料を用いて、リスクの高い土地情報を提供しています。

空中写真

こうしたデータを活用すれば、地盤選びの際に参考になりますし、地震や液状化のリスクが高い土地でも必要に応じた対策工事を実施することができるわけです。

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