「知らないと損」な災害リスク情報を、すべての人に(2ページ目)

更新日2016年12月08日

言葉を濁す売主に不都合な真実があることを直感

建築知識研究所―前回紹介した「地盤セカンドオピニオン」も、建設会社や住宅会社が利益を確保するため、不要な地盤改良工事を行わないか客観的に審査するというものでしたね。地盤業界の悪しき慣例にスポットライトを当て、大きな反響を呼びました。

地盤ネット―反発も大きかったですが、まさしくあの経験が役に立ったと思います。何事においても、消費者が詳しく知る術がないということは、そこに知られては不都合ななにかが隠されている可能性が高いですから。
そこで私はまず、候補地の売主である不動産会社に、災害リスクについてたずねてみることにしました。予想通りでしたが、その返事ははなはだ歯切れの悪いものでした。売主だけでなく、つきあいのあった他の不動産会社、地盤会社の社長にも相談してみたのですが、どうも曖昧に言葉を濁されて、安心することはできません。
当時の自分も含め、一般の消費者から見ればその道のプロだと思われる人ですら、ある土地・ある街の災害リスクを具体的には把握していなかったわけです。

建築知識研究所―その問題を、どのように解決していったのですか?

地盤ネット―幸い私の場合は、社内外に多くのコネクションがあります。地盤調査のプロはもちろん、報道番組で災害などについてコメントしている理学博士や一級建築士、当社が提携している一般社団法人「地盤安心住宅整備支援機構」に在籍する各種のエキスパートといった、地盤にも災害にも詳しい相談役がいたのです。
こうしたシンクタンク的な存在のおかげで、地盤や災害リスクに関する最新の調査・研究を踏まえたアドバイスをもらうことができました。
しかしながら、そういうことができるのも、私が地盤業界に関わっている人間だから。一般消費者の方にはこんな頼もしい助言者はないわけですから、これは由々しい問題だぞという気持ちが、日々募っていきました。

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