「知らないと損」な災害リスク情報を、すべての人に(3ページ目)

更新日2016年12月08日

「知らない」=消費者の負担増
それでも情報をオープンにできない事情があった

建築知識研究所―「地盤セカンドオピニオン」の開発動機もそうでしたが、知らないがゆえに、消費者が余計な負担を強いられるというのは、御社が最も厭うところですね。

地盤ネット―もちろん、明言できない人々にも事情があることは理解しています。
たとえば不動産会社の営業マンが、自分が販売する土地や建物について「ここは危険です」とあからさまに言うわけにはいかないでしょうし、ハザードマップを作っている地方自治体の担当者なども、リスクの可能性を理解してはいても声高にアラートを出しにくいでしょう。「騒がれると地価が下がる」と怒る地権者もいるでしょうし、地域のブランド力低下にもつながりますから。それに、財政難に苦しむ地方自治体としては、まだ起きていない災害調査や予防対策に予算を回すのが難しいので、注意喚起の及び腰になるケースも多いのです。

建築知識研究所―事情は確かに察することができますが、それで自分がリスクの高い土地を買ってしまったら……と思うと、不安になりますね。

地盤ネット―非常に不透明ですし、消費者にとっては不都合・不利益な状態だといえるでしょう。
そこで私は、いずれこうした事態を是正するためにも、まず自分が災害リスクの専門家にならなければと考えて「国土強靭化プロジェクト」に参加し、各省庁にも働きかけを始めました。消費者に最も身近な窓口である、土地・街の関係者に改善しにくい事情があるなら、もっと大きな視点からアプローチしなくてはと思ったからです。

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